2024
01.17
フランス料理はいつ庶民とマッチングするのか?

フランス料理はいつ庶民とマッチングするのか?

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世界三大料理のひとつフランス料理。厳選素材と極上ソースが奏でるアンサンブル。キラキラ輝く皿に盛りつけられたその様は芸術作品といっても過言ではありません。そんなフランス料理ですが高級感の壁が厚すぎるのか、庶民の口に入る機会はめったにないような気がします。

日本国民に「フラメシ」と呼ばれる日はまだ遠く

庶民にとってフレンチのイメージは「高級料理」だと思います。ビストロのような大衆向けフレンチ食堂もありますが、定食屋や町中華に比べるとその軒数は少なく、なかなか訪問に至らないというのが現実ではないでしょうか。

で、よくある実食のチャンスがホテルウェディングの披露宴に招待されたときです。テーブルに運ばれてくるお皿の数々。よくわからない食材によくわからないソース。メニュー表を見てもどこのなにかになにかしらを添えているのは読み取れますが、そもそも各単語の意味がわかりません。隣の友人と目を合わせながら「おいしいね」と小声で感想を述べるのが精一杯のリアクションです。

スネ夫が一流レストランでフランス料理を食べていたことはなんとなく覚えているくらいで。

そんなこんなでよくわからない高級料理ことフレンチは日常会話に一切登場しません。

「今日、フレンチでも行く?」

言ったことも聞いたこともないはずです。

たとえば番組内でグルメの話題になり「なにが好き?」と聞かれたアイドルが「フレンチとか」と言おうものなら好感度が光の速度で急降下してしまいます。ラーメンかチャーハンとでも言っておけば確実にフォロワーを増やせるわけですが、逆にあざといと冷ややかな目を向けられそうなので可もなく不可もないパスタが一般社会の正解になります。

スパゲッティじゃなくてパスタ。昭和中期まで日本人に馴染みがなかったイタリアンが80~90年代のイタメシブームで広まったのち、和洋中に続く第4の食文化として定着しました。

今のところフレンチが「フラメシ」と呼ばれる気配はまったくないですよね。

もしかすると料理以前にフランスのイメージが強いのかもしれません。みなさんはフランスにどんな印象を持っていますか?

エッフェル姉さんも舞い上がる花の都パリ、そしてパン

フランスに留学したい、フランスに住みたい、フランス人になりたい。

そう思っている人は多く、特に女性はフランスへの憧れが強いようです。

目の前の女性に「主人がフランス人でして」と言われようものなら頭を高くしている場合じゃありません。パリの灯より明るい後光が差しているはずです。

かつてカワイイに似た比喩として「フランス人形みたい」がありました。どこで買ってきたのか客間にフランス人形を飾っていたお宅もめずらしくなく、ブロンドヘア+青い瞳+ロココ調のドレスというブルジョワコーデに惹かれたやまとなでしこは数知れず。「わたしもいつかフランス人になってやるわ」とベルサイユのばらの1ページをめくりながら少女の夢は遥か彼方のセーヌ川を下っていたに違いありません。

そしてルイ・ヴィトンを筆頭にエルメス、カルティエ、シャネル、クロエ、ディオール、イヴ・サンローランなど、女性が大好きな高級ブランドはほぼフランスに密集しています。研修で現地を訪れたエッフェル姉さんたちが舞い上がるのも納得です。

シャンゼリゼ通りのテラス席でパンを食べたい、と。

パン!?

以前、フランス料理と聞いて「パン」しか思いつかないと書きました。

THE SECOND初代王者!ギャロップのネタに垣間見たフレンチの民主化

フランス料理がどうこう以前にフランスという国を崇める気持ちが強すぎて、パン以外のなにかが出てこないと。

フランスは「お」が付けられる唯一の上流階級国

その最たる例が「おフランス」だと思います。国名に「お」が付けられるのはフランスしかないですよね。おアメリア、おイギリス、おベルギーとか聞いたことがありません。おそロシアについては一旦忘れましょう。

ただ「おフランス」についてはピュアに持ち上げているというより、ブルジョワに対する庶民の皮肉が込められているはずです。

実際にフランスに行ってみるとパリ中心部はおしゃれ感満載のハイセンスシティですが、そうじゃない部分も少なくありません。スリやひったくりは多いし、ゴミは散らかっているし、ベンチや高架下で暮らす人もいるし。路地裏に入れば日本と変わらないダークサイドが見受けられます。

特にビックリしたのは車のバンパーのつぶれ具合です。わざとぶつけて縦列駐車したり抜けたりするのが当たり前なせいか、シトロエンやルノーの大衆車はホコリだらけのボッコボコ。その点、日本だとぶつけた箇所は早めに直すし、定期的に洗車する人が多いので揃ってキレイですよね。そもそも縦列駐車の環境と習慣がなく、コツンとぶつけられようものならその場で110番しちゃいます。

と、花の都の理想と現実のギャップにやられることを「パリ症候群」と言うみたいです。その例外が食文化でフランスへの憧れをストレートに再現したのがフランス料理なのかもしれません。

ただ業界、お店、シェフといった提供側に「ほかにないの?」と求めるだけでなく、消費者側で新しいメニューを発掘することもできます。

2020年の東京オリンピックはコロナ禍での開催でしたが、選手やメディアの方々がSNSで日本のグルメ情報を発信していましたよね。選手村の食堂ではとにかく「ぎょうざ」が大人気。外に出れば「コンビニおにぎり」も開け方が面白いとかなんとかで話題になりました。

そして今年はパリオリンピックです。

2024年7月26日から8月12日までの開催期間は競技だけでなく「フラメシ」を絶賛するアスリートのSNSにも期待しましょう。