2024
10.18
会社のYouTubeはなぜ続かないのか?

会社のYouTubeはなぜ続かないのか?

CONTENT MARKETING

個人ではなく会社としてYouTubeチャンネルを開設するケースが増えていますよね。企業チャンネルが増え続ける一方で、開設当初から墜落ギリギリの低空飛行しかしていないというお悩みの声も聞こえてきます。なにかと攻め方が難しい会社のYouTubeですが、伸ばし続けるにはどうしたらいいのでしょうか。

YouTubeは企画・撮影・編集のハードルが高いイメージ

企業チャンネルは収益化して稼ぐというより認知獲得が目的になるかと思います。モノを売るにしてもサービスを売るにしても会社の名前を知っている人が多いほど有利なのは言うまでもありません。

認知獲得が目的でも会社で運用している以上、大なり小なり経費負担があります。他のプロジェクトと同様に成果の出ないYouTubeは「もういいだろ」と上司や社長からストップがかかりやすいため、1年未満の短命で終わりやすいのが実情です。

かつて会社の名前を知ってもらうための手段は広告でした。

広告のメリットは即効性があることです。出してすぐに反応があるという点で、広告は評価されてきました。雑誌やフリーペーパーなど紙媒体が減る一方、リスティングなどネット広告の需要は右肩上がりで広告市場の半数に迫る勢いです。

とはいえ悩ましいのは過大な広告コストです。出し続けると固定費になるため、コロナ禍のように売上げが厳しいときは削減対象になり、実際にやめた会社も多かったはずです。

そこで無料でできるSNSで認知獲得しようという会社が急増しました。LINE、Facebook、インスタグラム、X(旧Twitter)、TikTokなど効果の有無はさておき全部運用している会社も少なくありません。

その延長線上にYouTubeがあるわけですが、やはり10~20分の長尺動画は企画・撮影・編集のハードルが高いせいか着手できないケースがほとんどだったりします。人手不足で社内にリソースはなく、外注化のコストもかけられないという現実問題がチャンネル開設を阻んでいるのです。

しかしYouTubeを見ていると登録者10万人以上の人気チャンネルを運営している会社が頻繁に出てきます。規模や業種に関係なく上手くいっているところもちゃんとあるわけです。

人気チャンネルを持っている会社は広告費をかけずに売上アップ、ブランディング自由自在、さらに採用活動にもアドバンテージがあるなどいいこと尽くしです。本当に羨ましいですよね。

伸びない増えない「ないないチャンネル」は伸びしろだらけ

と、夢のある話をしたところで我に返りましょう。登録者数が増えない再生回数も伸びない「ないないチャンネル」には改善ポイントが山ほどあります。逆にいえば伸びしろだらけということで、頭を抱える前に目の前の数字と向き合ってみませんか?

変わらない数字を見て「増えないー、伸びない―」とボヤいているだけではなにも解決しません。焦燥感に駆られてつくった動画を公開するのはもっとダメです。

まずは数字の裏にある「視聴者の気持ち」を読み取ってみてください。

M-1グランプリでも審査員が点数を出したあとで、なぜその点数なのかコメントするじゃないですか。漫才コンビはそれを聞いて「あーそういうことか」と改善策を見出せるわけです。

YouTubeの場合は審査員=視聴者になります。ならばコメント欄に注目すればいいのかというとそうではありません。そもそもないないチャンネルにはコメントがつきにくく、仮になにか書かれていたとしても本音とはかけ離れたスーパー建前です。

そこでないないチャンネルにおける「視聴者の気持ち」をまとめてみました。わかりやすいようにラーメン屋さんにも例えています。

(1)登録者数は増えているのに再生回数が伸びない
縁あって登録したけどわざわざ動画を見るほどでもない。サムネとタイトルが絶望的にパッとしない。よくお店の前を通りかかるけど外観がヤバすぎて入ろうとは思わないラーメン屋さん。

(2)再生回数は伸びているのに登録者数が増えない
動画は見たけど面白くなかったので登録するほどでもない。サムネとタイトルに動画のレベルが追いついていない。たまたま入って食べてみたけどクソマズすぎて二度と行かないラーメン屋さん。

(3)再生回数も伸びないし登録者数も増えない
これはもう論外なので一度チャンネルを閉じて、動画マーケティングの基礎の基礎から勉強し直しましょう。たぶん大きな勘違いをしています。立地が最悪で店構えもイマイチ、ラーメン屋さんとも思われていないラーメン屋さん。

(1)のケースならサムネとタイトルさえ工夫すればなんとかなると思っていませんか?

実は(1)も(2)もやるべきことはひとつだけ。

視聴者が「もう一度見たいと思う」動画をつくることです。

安心+共感+学び、ダメ動画は出さないという冷静な判断を

インスタグラムやTikTokのノリで動画をつくろうとすると瞬発的な面白さに引っ張られがちです。たとえば一発ギャグって笑えるじゃないですか。でも10分の面白い動画に仕上げるには分刻みの秒刻みでどう展開していくかという構成が必要になります。

この構成がなんなのかは「番組化」というテーマで説明しているので一度読んでいただければと思います。

YouTubeの再生回数が伸びないのは「番組化」されていないから

それともうひとつ。

動画はユーザーファースト(視聴者のために)でつくりましょう。

YouTubeのイメージがそうさせているのか、自分がやりたいことを好き勝手にやるのがいいみたいな悪ノリ動画が目立ちます。特に視聴者置いてきぼりの内輪ウケ動画は圧倒的不評を買います。すでに人気を獲得しているチャンネルならともかく、ないないチャンネルでそれをやったら完全にアウト。知らない会社にいる知らない人たちの知らない話を聞かされるわけですから「知らねーよ」と一蹴されてフィニッシュです。

では会社のYouTubeチャンネルにはなにが求められているのでしょうか。

共感と学び、この2点に尽きます。

わかりやすく言えば「そうそう」と「なるほど」です。

視聴者の日常と気持ちに寄り添いながら、新しい知識・ヒントを提供する動画をつくらない限り、ないないチャンネルからは脱却できません。

ただYouTubeの担当者1人で背負うには重い課題ですよね。

個人と違ってチームワークで物事を解決できるのが会社の強みです。たかがYouTubeと軽く考えず、少なくとも3人以上のチームで向き合うべきでしょう。

動画を公開する前に共感と学びの要素があるかどうか、みんなでチェックしてください。最新の動画が視聴者に刺さらないと登録者数は増えるどころか減る可能性もあります。

「こりゃダメだ」と思った動画は出さない。

という冷静な判断ができるのであれば、会社のYouTubeは続けられるし伸びると思います。