04.23
ターゲットを絞り込むのはなぜか?
コンテンツの企画やテーマを決めるときに必ず「ターゲットは?」という話になります。ただターゲットの絞り込みについてちゃんと説明できているかというと、正直なところあまり自信がなく「もっとわかりやすい伝え方を考えなければ!」とかなんとか思った今日このごろです。
刑事も探偵も絞り込まなければ事件を解決できない
ターゲットは絞り込むのが当たり前、絞り込んだ方がいいに決まっているでしょ。と絞り込みありきで話を進めてしまうのはよくないため、なにかわかりやすい例を考えてみます。マーケティングからは一旦離れた方がいいですね。
刑事ドラマで殺人事件が起こって捜査本部が設置されると、早い段階で犯人の絞り込みがはじまるわけです。目撃証言や物証などから性別、年齢、顔つき、身体的特徴、行動区域など犯人像を具体化していきます。
なぜ絞り込むかというと、日本人全員を捜査対象にしてしまうとまったく人手が足りないからです。もちろん日本の警察はそんなバカなことはしません。逆に犯人を絞り込めば、限られた人数と時間で効率よく事件を解決することができます。古畑任三郎シリーズや相棒シリーズだとCMを除いた賞味40分くらいで事件を解決しなければならないですからね。
あと金田一もコナンも「犯人はこの中にいる!」とか言うじゃないですか。この中にいなかったら話が終わらないので犯人の絞り込みは必要不可欠です。
これをリソースがどうのこうのと言ったりするわけですが、四方八方を向いて考えたり動いたりしても疲れるだけでなにも解決できませんよと。
たった1人のお客さんをどうやって笑わせますか?
続いてそれとコンテンツとどう関係があるかという話です。お笑いライブって行ったことがあるでしょうか?劇場のステージで芸人さんがネタをやるやつです。
ここからは “売れない芸人さん” の立場になって考えてみてください。小さい劇場でも50席くらいはあるものですが、もしそこにお客さんが1人しかいなかったらどんなネタをやりますか?
学校帰りの女子高生だったら、40代半ばのおじさんだったら、ランドセルを背負った子どもだったら、上品な雰囲気のおばさまだったら、ギリ日本語が理解できそうな外国人だったら、業界の大物プロデューサーだったら、同じ事務所の売れている先輩だったら、クスリともしなそうな強面のアニキだったら。
おそらく目の前にいる人に寄せたネタをやると思うんです。
どんなに面白いことをしても、相手に伝わらないと笑いは起こりません。ちゃんと伝えるためには相手がどんな人か見定める必要があります。大人に向かって「いないいないばぁ!」とかやらないですよね。
つまり、お客さん=ターゲット、ネタ=コンテンツと考えれば「なるほど確かに」と思っていただけるかと。
ここまで話したところで「いやいや1000人とか2000人とか大勢を笑わせている芸人もいるでしょうよ!」との意見もあるはずです。おっしゃる通りでサンドイッチマンとかナイツとか老若男女に関係なく大爆笑をとっています。
ちょっと前を読み返していただきたいのですが “売れない芸人さん” の立場ではなかなかそうもいきません。
不特定多数の女性にラブレターを書きますか?
学校の先生って1クラスを相手に授業を行いますよね。クラスの生徒が30人だろうが40人だろうが平等かつ公平に勉強を教えています。そう考えると大変な仕事ですよね。
これが少人数制の学習塾だと10人くらいにもっと的を絞った授業を行うはずです。そもそも塾に通う生徒さんですから、高校進学など具体的な目的や目標があり、習熟度によってレベル分けされているかもしれません。成績を上げるという意味では学校の先生に勝って当然です。
さらにマンツーマンの個別指導になると、苦手科目の克服、志望校に向けた受験対策など授業内容はかなり絞り込んだものになります。オリジナルのテキストだって用意できそうです。
このオリジナルのテキストが言わば究極のコンテンツです。
やっぱりよくわからないという方は意中の彼女(彼)=ターゲット、ラブレター=コンテンツだと思いましょう。100人くらいの女性(男性)を思い浮かべながらラブレターを書く人なんかいませんよね。