02.25
YouTubeの「怪しい広告」が意外と刺さる
YouTubeを見ていると怪しい広告が結構な頻度で流れてきますよね。もちろん上手い話にはあまり上手くない裏話があります。ほとんどの人は見ないと思いますが、それなりに効果があるから広告も流れてくるわけです。どういう人がいいお客さんになっているのでしょうか?
成長過程だと見たい知りたいの好奇心には抗えない
YouTubeでよく見るのが「動画を投稿するだけで月収〇〇万円以上」という謳い文句の広告です。似たような話は昔からありますが、令和でもこの手は通用しています。
いわゆる情報商材です。
念のため書いておきますが、楽に稼げるとかこの世の中に上手い話はありません。結果的に楽だったと思うことはあっても、やる前から100%保証されている完璧な儲け話はないと覚えておきましょう。
で、どういう人が怪しい広告を見ているのかというと一番多いと考えられるのが大学生です。
いつの時代も経験不足と知識不足は行動力の源です。子どもなんかは急に道路に飛び出したり、高いところに登ったり、食べちゃいけないものを口に入れたりと見ていて怖いですよね。成長していくうちに自ら危険を避けるようになりますが、小中高と勉強してきた大学生でも社会に潜むリスクに関しては無防備だったりします。
特に春は危険な季節です。
春の都会、春のキャンパスは新入生ホイホイみたいなもので、宗教やらマルチやらの勧誘活動がいたるところで行われています。ヤバそうな空気は感じているものの「なにか新しいことをやってみたい!」という好奇心が仇となりホイホイ飛び込んでしまうのです。どんぶらこーどんぶらこーと川上から流れてきた奇妙な巨大桃を自宅に持ち帰ったおばあさんも、おそらく好奇心が旺盛な方だったのでしょう。
それと同じ理由で「どこの誰がクリックするの?」と思うような怪しい広告にも一定数のお客さんがいるわけです。
若年層もよく見るYouTubeはヒット率の高い釣り堀
信用詐欺師集団によるダマしダマされコメディドラマ「コンフィデスマンJP」ではターゲットを「お魚ちゃん」と呼んでいました。いかに大物を釣り上げるかがこのドラマの見どころで、定番の手口は「興味のありそうなことをエサにする」です。
スポーツ、美容、アートなど人の興味は多岐に渡ります。そして一番大事なのがタイミングです。ちょうど家を買おうかどうか考えていたところにピンポーンとハウスメーカーの訪問販売員が訪ねてきたら、少しくらい話を聞いてみようかと思いますよね。
で、世間一般の関心事はなにかというと「お金」です。
30代、40代だと将来の不安を拭うためにNISA(少額投資非課税制度)で積み立てをはじめたりしますが、大学生や新社会人など若い人たちは事情が異なります。
やりたいことは多いけど壊滅的にお金がない。
食べたいものも、欲しいものも、行きたいところも山ほどあるのにお金がないというのは気力・体力・好奇心が最高潮の若者にとって耐えがたい状況です。
と、モヤモヤしていたときに怪しい広告が流れてきたら食いつく以外の選択肢がありません。砂漠で偶然見つけた水をなにも疑わず飲むのと一緒で、お金に飢えた若者は儲け話のダークサイドを想像しないのです。
お金がほしい、楽に稼ぎたい、ドーン!
みたいな感じで「笑ゥせぇるすまん」の喪黒福造も人々のココロのスキマを埋めようとしていましたね。
いずれにしても怪しい系の広告主にとってYouTubeはヒット率の高い釣り堀なのです。
怪しい広告の怪しい扉を開くのは結論が気になるから
人間って偶発的なできごとに弱いですよね。飛行機でたまたま隣に座った人が同じ地元で同じ血液型で同じ誕生日で。さらに推しも同じとか。本来は怖くてたまらない状況なのですが、機上のこうした偶然は運命としか思えず笑顔でLINEを交換しちゃうはずです。
YouTubeの怪しい広告も偶然といえば偶然です。
お金に困っていてどうしようもないときに見た動画。その冒頭で流れてきた広告で主はこう語りかけてくるのです。
お金足りないですよね、一生懸命働いても楽にならないですよね、でもお金持ちの人っていますよね、どうやってお金持ちになったのか不思議ですよね、実はわたしもそう思っていました、なんであの人はポルシェに乗っているのにわたしは免許すらないのだろうかと、だからいろいろ調べてみました、するとお金持ちには共通点があることがわかったんです、ある人から聞いた話なんですが、なんだと思いますか、ちょっとは知りたいですよね、でもこういう話ってなんか怪しいですよね、とかなんとか。
この時点でスキップすればいいものをまったく興味がないわけではないため続きを見てしまいます。
その通りなんですよ、実際に怪しい話はたくさんあります、わたしもダマされるのが怖いのでずっと避けていました、ただ避け続けていたところでなにも変わらないのです、わたしに必要なのは一歩踏み出す勇気でした、だからわたしは情報をもとに会いに行きました、その人を仮にAさんとしましょう、Aさんはわたしにこう言いました、お金の稼ぎ方を知らないだけだと、確かにそうなのかもしれません、これまでコツコツ働くことしか考えていませんでした、この先10年も20年もそうしているかと思うとゾッとします、Aさんはわたしに一冊のテキストを手渡しました、とりあえず読んでみてほしいと、そして読み終えたあとで連絡してほしいと、わたしは半信半疑でした、だからその日はテキストを開きませんでした、次の日もそのまた次の日も、そのまま1週間が経過していました、なにも変わっていないんです、変われるかもしれないきっかけはあったのに、あなたにも似たような経験がありませんか、とかなんとか。
とにかく長いです。
でもこの長さがポイントで、長々とつかみどころのない話を聞いていると「ようするになにが言いたいわけ?」と結論を求めるようになります。
そこでチラチラ目に入るのが「資料請求」の文字です。
しかも「今なら無料」だとか。
無料ならいいかと怪しい広告の怪しい扉を開けてしまうのです。
高いところから落ちないとリアルな痛みはわかりません。しかし落ちていい高さとダメな高さがあります。高層ビルの屋上はダメですが、1メートルくらいなら捻挫で済むかもしれません。なにごとも経験と言いますが、大ケガだけはしないように気をつけましょう。