SNSの毎日投稿は「電車でよく見かけるアノ人が気になる」と同じ効果を生む

2022
04.03

SNSの毎日投稿は「電車でよく見かけるアノ人が気になる」と同じ効果を生む

SNSの使い方は自由ですが、毎日必ずアップしている人もいますよね？逆に上がっていない日があると「大丈夫かな」と心配になるほどタイムラインの常連さんがそうです。たとえそれがギリギリ知人程度の存在であっても毎日見ていると親近感が沸いてくるというもの。この謎めいた効果、実はお店のアカウントでも十分に通用します。

何度も繰り返されることで親近感が沸く単純接触効果って？

会う・見る・聞くなどなんらかの接触を繰り返すことにより、親近感や好意を抱くことを心理学用語で「単純接触効果」と言います。恋愛テクニックとしてたびたび紹介されるのでご存知の方も多いと思いますが、日常生活の中でも体験できる心理効果のひとつです。

・通勤時によく見かけるクリニックの看板
・選挙運動期間中に名前を連呼している候補者
・番組ゲストに引っ張りだこの女性タレント

共通しているのは特に意識していないのに、目や耳に繰り返し入ってくることでしょうか。実際に好きになるかどうかはさておき、とりあえず知っている、自分の頭の中にある存在として認めることができます。

人でもモノでも知らないことには好きにも嫌いにもなれません。電車でよく見かけるアノ人が気になるのは単純接触化効果の最たるもの。それがたまたまであっても見かけない日には「風邪で休んでいるのかな」と余計に気になっちゃいますよね。

似たようなものはほかにもあります。

・散歩中によくすれ違うジョギングおじさん
・歩道橋の下でたむろっている野良猫たち
・近所の薬局に立ち続ける謎のマスコット

声をかけたり調べたりするほどではありませんが、いずれも気になる存在です。「そういえばあのおじさんって……」と友人との会話の中に登場することもあるでしょう。

決して好ましくない場合でも気になるケースがあります。

・年季どころではない蕎麦屋の汚い看板
・不協和音しか聞こえてこない隣人のピアノ
・交番に掲示されている爆弾魔の顔写真

見るつもりはなくても目に入っている、聞くつもりはなくても耳に入っていることが深い認識につながります。

以上のことから、SNSのタイムラインでおなじみのアノ人は一般人でありながら有名人ともいえるわけです。

お店の存在感を示すために同じような内容でも毎日投稿

お店でSNSアカウントを持っている場合、商品やサービスについてなにかアップするのは週に1～2回というのが普通だと思います。更新頻度に常識もルールもありませんが、忘れない程度に、なおかつ無理のない範囲でアップすることが業務ルーティンに組み込まれているのです。

一方で毎日必ずアップしているお店もあります。時間もほぼ決まっていて朝9時とか昼12時とか。SNSは時間指定での予約投稿ができるので、前もって保存しておいた投稿内容をその時刻になったら自動的に公開というやり方です。

とはいえ毎日アップするほどの新鮮なネタがあるわけではなく、ほぼ同じような投稿、もしくはまったく同じ投稿が繰り返されていたりするケースは珍しくありません。

見る側としてはどうでしょうか？

まったく同じ投稿が毎日タイムラインに流れてきたところで、特に不快に思うことはないはずです。むしろ毎日届く牛乳や新聞のようにいつもと変わらない一日を実感できる安心材料にもなっていたりします。時間指定の投稿であれば「もうこんな時間か」と時報チャイムっぽい感覚で受け止められます。少なくともフォローを外すほどのことではありません。

このような状況が生まれていれば、お店としては十分に存在感を示すことができています。そういえば電車でよく見かけるアノ人も毎日同じスーツ姿でつり革を握っているだけですよね。