11.05
今日もまた求めていない人が面接に来た(零細企業編)
従業員5人以下の零細企業の求人は「なかなかいい人が来ない」のが現実です。求人広告を出せば応募ゼロとはなりませんが、お金と時間を割いたところでなかなか採用には至らず。会社の希望に見合わない人ばかり面接する日々が続きます。なぜそのようなことが起こってしまうのでしょうか?
針の穴にパスタを通すように難しいマッチング
いい大学からのいい会社という流れは今も昔も変わらず、新卒で一流企業に就職したければ一流大学に目指すのが近道です。ただ夢や理想を叶えられるのはほんのひと握り。その他大勢の学生さんは現実的な道を選択しなければならず、身の丈に合わせた志望校を探して受験に挑むわけです。
その身の丈を測るときの目安になるのが偏差値。模擬試験を受けて自分と志望校のレベル差を把握していればチョモランマに登るような無謀な挑戦は避けられるはずです。
就職の方はどうでしょうか?
100社以上の企業に応募して内定ゼロとか絶望的なニュースにも慣れてきた今日このごろ。極端な例ですがメディアが取り上げるのにはそういった背景があることも否めません。バブル崩壊後の1993年から2005年は就職氷河期と呼ばれ、2008年には世界的な金融危機のリーマンショックが起こり、不況だ不況だという声を聞いているうちに2020年のコロナ禍で有効求人倍率もガクッと落ち込みました。
現在は緩やかな回復傾向にありますが、長いスパンで見れば四半世紀以上ずっと就職難が続いている印象です。
働きたいのに就職先が見つからない、求人広告を出しても人が来ない。
仮に希望者が現れたとしても零細企業の求人は一筋縄ではいかないようです。
「ようやく来たと思ったら65歳以上の高齢者ばかり」
「履歴書の書き方がめちゃくちゃで読む気にもならない」
「うちに面接に来るなんてなにか勘違いしているのでは?」
零細企業と求職者のマッチングは針の穴に糸、いやパスタを通すような難しさがあります。
いい人に来てほしいけど「社長より優秀な人」はお断り
求職者は偏差値のような目安がないため、とりあえず自分の希望をメインに企業選びを考えます。仕事と給料と休日。がむしゃらに働く時代は平成後期に終焉を迎えたので、それなりの給料に十分な休日、少しやりがいもありつつ無理なく続けられる仕事であればOKと可もなく不可もないマッチングを目指します。
また求職者は事前に企業の情報を調べることができます。求人広告からのホームページからの口コミサイトという流れで応募すべきか否かの判断が可能です。
逆に企業はどこの誰が応募してくれるのかわかりません。男女雇用機会均等法と労働施策総合推進法により求人広告に性別指定や年齢制限を謳うことができず、たとえば「30代くらいの男性がうちに入ってくれたら」という素朴な希望も求職者には届かないのです。
そんなこんなで給与や待遇など出した条件の中で「いい人」に来てほしいと願いながら、求職者からの連絡を待つことになります。
残念ながらさほど求人に力を入れていない零細企業に「いい人」が来る確率はほぼゼロです。ドラフト会議でいえば999巡目くらいの選手が対象になります。ドラ1は採れるわけもなく、2巡目も3巡目も名のある会社に行ってしまいます。結果999巡目と。逆に偶然残っていた超逸材が希望してきたところで困ることもあるかと思います。「社長より優秀な人はお断り」という零細企業にありがちな本音がその理由です。
大企業にも中小企業にも断られ、就職戦線で傷だらけになって息も絶え絶え辿りつくのが零細企業の採用枠。就職するか入信するかの極限的心境の人がいても不思議ではありません。人手は足りていない、早く決めてしまいたい、でも1ヵ月で辞められるのは辛い。うーん、悩ましい状況ですよね。
内角低めに投げたボールを振らせるという求人戦略
零細企業=社長です。規模的に人事担当を置いてないでしょうから、面接するのも面倒を見るのも社長だと思います。
求職者からするとその辺がよくイメージできていないことがあります。実際に面接に来るまで会社は会社、仕事は仕事、社長は社長と区別して考えがちです。面接当日に顔を合わせたとき、お互いに「なんか違うかも」となってしまうのは意識と現実のズレが生じているからなのでしょう。
ということで、零細企業の求人は社長個人を全面に押し出していくべきです。この人に会いに行き、この人と一緒に仕事をするのだと求職者がしっかり意識できていれば面接時に「アレ?」とはなりません。
もちろん社長が求めている人物像を具体化する必要があります。元気で明るい人はこの世に存在しないと思ってください。社長としてどこを目指していてなにが課題なのか、だからこういう人材を求めているのだと。面接のときにいつも言っていることです。それをホームページなりSNSなりで事前に伝えることで理想の人との出会いが実現します。
広く浅くではなく意図的にターゲットを絞り込みましょう。零細企業の求人戦略は求職者の選球眼を信じてストライクゾーンをせまくするのがおすすめです。