2024
05.31
手相占いが当たるのはなぜか?

手相占いが当たるのはなぜか?

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占いといえば「手相」ですよね。占いをまったく信じない人でも一度は自分の手相と向き合ったことがあるかと思います。生命線が下に伸びていると長生きできるとか、ますかけ線があると成功者になれるとか。その信憑性はさておき、なんか当たっていそうな気になるのはなぜなのでしょうか?

統計学というより経験則だから意外と当たってしまう

占い=手相のイメージってありますよね。普段は気にしていなくてもテレビで手相占いをやっているときとか、つられるように自分の手のひらを見てみたり、線の長さや太さを確認してみたりするものです。

占い師の先生方は占星術とかタロットとか四柱推命とか九星気学とか専門分野をそれぞれ持っているわけですが、実は手相占いもできることが多いです。手品師にとってのカードマジックみたいなもので、最初は手相から入って他の専門分野に行き着くことはめずらしくありません。あと「占い師だったら手相も見ることができるでしょ?」という世間のニーズにこたえるために勉強した人も少なくないはずです。

と、占いの代名詞にもなっている手相ですが、どこまでちゃんと当たるものなのでしょうか?

そもそも占い全般に科学的根拠はないです。まだ科学的に証明できていないというのが正しい言い方で、宇宙人がいるかいないか断定できないのと同じことです。との理由から肯定派と否定派の論争がたびたび起こるわけですが、これはこたえが出ないまま永遠に続くのではないでしょうか。

かといってまったくアテにならないという話ではありません。

よく耳にするのが「占いは統計学」のなんたらかんたらです。

統計学ではなく経験則と言われた方が腑に落ちやすいのかもしれません。毎日のように誰かを占っていればなにかしらの傾向が見えてくるはずです。こういう人はこのタイプでああいう人はあのタイプみたいな。体格、服装、靴、髪型、表情、目つき、仕草、口ぐせ、匂い。占いに限らず、美容師、タクシー運転手、ホテルマン、キャバ嬢など接客業全般に言えることです。不特定多数の人と向き合う仕事をしていれば経験則が生まれるのは必然で、経験が長いほど当たる確率も高くなります。たとえば警察官も経験則が武器になりやすいですよね。あいつはウソをついているとか、こいつはクロに違いないとか、そいつはホンボシじゃないとか。

その点、手相占いは人のパーツを直視しているため、他の占いよりも経験則による的中率が高いような気がします。手が口ほどにものを言うというか、見る人が見れば顔より性格や未来がハッキリ出ているのかもしれませんね。

島田秀平の手相占いはわかりやすいから当たりやすい

ポピュラーではあるもののかつての手相は地味な占いでした。路地裏の一角でご年配の占い師が手のひらを凝視しながらボソボソとつぶやくみたいな。少なくともキラキラポップの明るい印象はなかったはずです。

その状況を大きく変えたのはおそらく島田秀平さんです。

島田さんが占い師になる前はホリプロ所属のお笑いコンビ「号泣」での活動がメインでした。芸人ならではのトークスキルで行われる手相占いは軽快そのもの。さらに第三者から見ても面白いためテレビ番組のコンテンツとして人気を博しました。

AKB48グループの新春恒例企画「ラッキーガールランキング」ではメンバー全員を手相によって順位付けしており、特にファンじゃなくても「おーそうなのか」と楽しめる内容でした。

で、このタイプの占いには言語化能力が欠かせません。一般的ではない事象を「わかりやすく伝える力」が必要です。

他のジャンルでいうと科学実験のでんじろう先生、政治経済の池上彰さん、マラソンの増田明美さん。難解な専門用語もわたしたちが理解しやすいワードで置き換えたり、なるほどそうかと共感しやすいたとえ話を交えたりしながら解説してくれます。

島田秀平さんも同様です。

手相占いに興味がない人でも生命線、頭脳線、感情線くらいは知っていると思います。難しいのはそれ以外のマイナーな線の数々。島田さんはこれまでわかりにくかった手相のなんとか線をエロ線、モテ線、カリスマ線、アブノーマル線、ボランティア線、あやまりま線などキャッチーなネーミングで伝えています。たぶん他の占い師さんも似たようなネーミングにトライしていたのではないかと思います。そう考えるとテレビやタレントの影響力ってすごいですよね。

わかりやすい=当たりやすいです。

なんとか線の知識がなければなにかあったときに手相と結びつけることはありません。しかし「アブノーマル線があるからこの人はちょっと変わっているんだ」みたいに日常の中で使えるようになると打率は上がっていきます。

当たらない事実が広まらなければ当たるイメージになる

たとえば旅先でお店を探すとします。Google Map、食べログ、友人・知人の話など情報源はなんでもいいです。

知りたいのは「おいしいお店」の情報ですよね。

評価や口コミを見れば一目瞭然です。また友人・知人の「あそこはウマいよ」の言葉は信用しやすいと思います。

逆においしくないお店の情報も探している過程の中で目や耳に入ってきますが記憶には残りません。知ったところで行くことはないため覚える必要がありません。

つまり当たりハズレでいえば当たりの情報のみインプット。実際に行ってみて本当においしいと思えばその感動を誰かに伝えたくなります。SNSがおいしいお店の情報で溢れているのは当然なのかもしれません。

占いも似たようなものです。

よく当たる占い師の話は知っていても、まったく当たらない占い師の噂とか聞かないですよね。

仮に当たらなかった人のエピソードがあったとしても「そういうものだから」とその場限りの笑い話になって終わりです。人々の記憶に残らなければ当たらない事実がいくらあっても世の中に広まることはありません。

もとからポピュラーな手相占いは体験者が多いため、当たったという話が広がりやすく、占いに興味のない人たちの間にも浸透していきます。

手相だったら「当たるような気がする」と思ってしまうのはそういう理屈によるものなのでしょう。