07.22
食べログは敵か味方か?戦略的活用のカギはレビューの数値化
お店選びに食べログのようなレビューサイトを参考にしている人は多いと思います。特に気にしているのは評価点数とコメントではないでしょうか。一方、店主さんにとってレビューサイトは諸刃の剣です。宣伝してくれるメリットと批判も掲載されてしまうデメリットが混在しているため、お店によってはありがた迷惑な存在ともいえます。上手く付き合うにはどうしたらいいのでしょうか? 結論としては「レビューの数値化」により有効活用できるという話です。
低評価も高評価も個人の感想に過ぎない
あるお客さんが「接客態度が悪い!」というクレームが言ってきたとしましょう。お店としてはとりあえず謝るしかないですよね。たとえお店に非がなかったとしても言い争うだけ時間のムダですし、ほかのお客さんの迷惑になってしまうからです。クールダウンさせて速やかにお帰りいただくのが長い目で見た場合の正解なのでしょう。
この手の批判は常に主観的です。
クレーマーだからというわけではありません。「接客態度が悪い!」の前に「その人にとって」が付くからです。味が薄い、床が汚い、料金が高い。なんでもそうですが、個人的に受け入れがたいことをクレーム変換しているだけなのです。
食べログやGoogleのレビューも同じことで「二度と行きません!」と強めの批判コメントが入っていたとしても、さほど気にする必要はありません。逆に「おいしかった!」という高評価や「もっとこうすれば繁盛するよ!」というアドバイスなどいろいろありまずが、いずれも個人の感想、個人の意見に過ぎず、いちいち真に受けるほどのメリットはないと考えられます。
当たらない占い師の噂はなぜ広まらないのか?
占いを信じるか信じないかは別として口コミで広がりやすいのは「よく当たる占い師」の噂話です。逆に「まったく当たらない占い師」の話って聞かないですよね。
友人との会話で「どこかおいしいお店知らない?」と聞くことはあっても「マズいお店を教えて?」という質問は普通しません。なぜならそんなことを聞いたところで、次のアクションにつながらないからです。話の上では面白くても、実際に行くか行かないで考えればおいしいお店の方がいいに決まっています。
との理由から悪い噂はそんなに広く伝わるものではありません。
批判的なコメントがデジタルタトゥーのようにネット上に残り続けることは否めませんが、検索している人たちも情報を取捨選択しながらお店を選んでいます。10の高評価に対して3の低評価を気にするかどうかは人それぞれです。
食べログ3.5以上の人気店には周囲の意見に乗っかるバンドワゴン効果もあり、低評価がつきにくくなります。また匿名とはいえ投稿コメントは公開されるわけですから、どこか人の目を意識したものになりがちです。つまり本音とは一定の距離があるといえます。
レビューの本質を数値化して改善資料に
昔から「悩んだらお客さんに聞け」とよく言われますが、今はそれが通用しなくなってきています。聞いたところで本音が出てこないのが現代のリアルコミュニケーション。建前はウソと一緒です。
先ほど高評価も低評価もレビューは見る必要がないといいと言いました。理由は個人の感想に過ぎないからです。
ただ違うとらえ方ができれば見る価値が出てきます。
それがレビューの数値化です。
アンケート結果を把握しやすくするには数値をパーセンテージで示す必要があります。さらにグラフ化してどこがどうなっているのかひと目でわかるようにします。いずれにしても数値化されていなければ話になりません。
レビューは個人がああでもないこうでもないと言っているだけの状態です。それを数値化するにはお店のアンケート結果だと思って、味について、接客について、料金についてなどいくつか質問を仮定した上でレビューから回答を読み取っていきます。具体的には次のような感じです。
【Q】味についてはいかがでしたか?
とてもおいしかった …… 38人
おいしかった …… 25人
ふつう …… 12人
あまりおいしくなかった …… 3人
おいしくなかった …… 2人
チェーン店ではこういうアンケート用紙がテーブルに置いてあったりしますよね。たとえば「前菜の彩りがよくて、メインがボリューミーで、デザートが斬新で……」と長いコメントを見つけたら、要するになにを言いたいのかという本質をあぶり出します。
それなりの時間と根気を要しますが、独自にまとめたアンケート結果はのちの改善につながる貴重なデータです。「二度と行きません!」など店主さんがイラッとするような批判コメントも数値化してしまえば冷静に向き合えるのではないでしょうか。