03.02
取材ライターに欠かせない「質問力」をアップデートしよう
会話はキャッチボールに例えられますが、ようするに質問(=送球)と回答(=返球)の繰り返しです。そして質問が常に先にある以上、なにをどう聞くかによって回答の質が変わってきます。取材ライターに欠かせない質問力。効率よくナイスな回答が得られるようにアップデートしてみましょう!
質問は一本釣りではなく底引き網で大漁を目指そう
質問は広いところ(wide)から狭いところ(narrow)に絞り込んでいくのがおすすめです。最初からピンポイントで回答を引き出そうとすると、話が広がりにくく質問もバラついてしまいます。
たとえば全体的な生い立ちを聞くとき「中学の部活はなにをしていました?」という質問を投げると「野球部でした」や「吹奏楽部でした」など1に対して1が返ってくるだけです。もちろん「ポジションは?」や「楽器は?」と掘り下げることはできますが、その後は先がどんどん細くなるだけなので早々に話題を変えるしかありません。
そこで「小さいときはどんな感じの子どもでしたか?」とザックリな聞き方をしてみます。聞かれた本人が覚えている時期からの覚えている事実を話せるような、なるべく相手がフリーになれる状況をつくりましょう。
質問が下手な人ほど早く求めがちです。圧力強めにグイグイ前に出られると聞かれた側は「いやいや」と引いてしまいます。
近年は場所も機会も激減していますが、喫煙所ならでは会話ってあるじゃないですか。それこそ「最近どう?」とかフワフワした煙っぽい話からスタートして、実際に聞き出したかった本題に火がつきはじめるみたいな。
一本釣りのような質問の仕方では逆に時間がかかってしまいます。やはり底引き網を仕掛けておいて、その中で相手を泳がせながら「いい獲物はいないか?」と目を光らせるのがおすすめです。
たまに1を聞けば10が返ってくる人っていますよね。頭のいい人、優秀な人、仕事ができる人の特徴がそれです。もし10が返ってくるような1を聞くことができればゴイゴイスーの理想的ですよね。質問の工夫によって、相手を頭のいい人、優秀な人、仕事ができる人に変えられるのです。
話が暴走したらそれに付き合うことで質問を変える
わりといい質問をぶつけると相手が調子に乗ってくることがあります。そのくだりはもう十分なのにブレーキが壊れた暴走機関車のようにしゃべりまくる人は少なからずいます。
「その話はもういいですから」
なかなか言えないですよね。こっちから聞きはじめたことなのに話の腰を折るようなマネはできないはずです。とはいえ時間に限りがあるわけですから失礼も許されるかと。腰を折るのは確かにダメですが、膝や肘ぐらいならセーフです。
だいたいこういうときって「早く終わらないかな」と思いますし、ちょっとは表情や態度にも出てしまうじゃないですか。そこを逆に「ふむふむ、確かにそうですよね」と前のめりになって話を聞きにいきます。止めるのではなくその暴走機関車に乗り込んじゃいます。
するとこっちのターンが生まれやすくなります。おそらく途中で「そう思いませんか?」とか聞いてきます。おしゃべりな人は共感を求めがちですから。いずれにしてもそこが話の膝や肘です。バキッと折っちゃいましょう。そして「あ、そういえば」とクールに話題を切り替えます。
話題を切り替えるタイミングはほかにもあります。
お茶やコーヒーに口をつけたとき、大きな息継ぎをしたとき、椅子を直したとき、足を組み替えたとき、上や横に視線を外したとき。
それらも見当たらなければモノを落とします。スマホでもボールペンでもなんでもいいです。拾い上げるときの間を利用して次の質問に入りましょう。
質問力=会話力、いい質問とは相手が聞いてほしいこと
就活用語に「ガクチカ」という言葉があるそうです。学生時代に力を入れたこと=ガクチカと言うみたいですが、これって聞いてほしい人と聞かれたくない人に分かれますよね。
みんながみんな学生のときに「コレを頑張りました!」のコレがあるとは限りません。学生なんだから勉強を頑張ればいいじゃないかと思いますが、勉強以外に頑張っていたことが社会に出たときに役立つという風潮は昔からあります。
ガクチカがない人にガクチカについて聞こうとしても、ないものはないので収穫ゼロです。
ムダな質問はやめましょう。と、言いたいところですがあるかないかは聞いてみないとわからないですよね。これが質問の難しさってヤツです。
たとえば友人に「最近、映画観た?」と聞かれたとします。「いや、観ていない」で終わることもあるでしょうし、実際に見た映画の内容や感想を話しはじめることもあるはずです。いずれにしても1往復で終わるのは会話的によくありません
「そっちはなにか観た?」と聞き返してあげるのがマナーというかやさしさというか気配りではないでしょうか。むしろ相手からの質問はチャンスだと考えます。
つまり「聞いてほしいことは聞いてくる」と。
スラムダンクは観た?
昨日なに食べた?
これから予定は?
仕事忙しくない?
なにか悩みはないの?
繰り返しになりますが会話はキャッチボールです。相手からこれを聞いてほしいという逆質問ボールを投げてくることもあります。で、本当にいい質問とは相手が聞いてほしいことを引き出せるような「?」です。
そのためにも最初に話を広げておく必要があります。一方的な質問攻めにするのではなくこっちのスキや余裕を見せておくことも大切です。質問にこれという正解はありませんが、いい回答を引き出すためのヒントは会話の中で見つけられます。
まとめると質問力は会話力ということで、ちゃんと会話をすれば質問のクオリティーもしっかりアップデートできます。