2023
10.28
ライターに求められる「平易な文章」とは?

ライターに求められる「平易な文章」とは?

WRITING

仕事で原稿作成に関わっている人はとにもかくにも「平易な文章」を求められます。平易(へいい)ってなに?という方のために説明するとやさしい、かんたん、わかりやすいの3拍子が揃っている、つまり読みやすい文章であればOKです。と口で言うのは楽ですが実際に平易な文章を書くとなると頭がグッタリします。

個性も感情もないAIみたいな文章が読みやすい

まず平易な文章は標準語です。関西弁でも沖縄弁でもなく全国ネットのニュースで流れるような標準語を使うことが大前提です。方言でもその地域に住んでいる人なら受け入れられそうですが、多くの日本人にとって読みやすいのは東京の言葉(=標準語)になります。

また平易な文章にはクセがありません。しゃべり方でいえば人それぞれに性格が表れますよね。性格がどうであれ文章を書くときは普通の人になりましょう。

たとえば常に上から目線でものを言う人が高圧的に書く文章はこうです。

燃えるごみは月曜日の朝8時までに出したまえ。

出してください、ですよね。まともな社会人なら性格と文章は区別しますが「わたしはわたしらしく」と独自の書き方にこだわる人も一定数います。タレントやコラムニストでもない限り、自分らしさを出せるのは自分を知っている人向けの私信だけだと思います。

あと平易な文章は時代に見合った言葉遣いでなければなりません。時代劇以外で「これは鮎の塩焼きでござる」とか聞かないですよね。現代の文章は現代の言い回しにしましょう。

言葉は時代とともに変わっていきます。新しい言葉が生まれたり、使い方が変わったりするものです。10年前にはなかった言葉ってたくさんありますよね。新しければ使えるかというと一概には言えません。ギャル語のようなアラフォー以上に通用しない言葉は避けた方がいいです。

読者を考えさせてしまう「体言止め」は使わない

これもよく言われることですが「体言止めは使わないように」と。体言は名詞です。人名や会社名、商品名、サービス名など文章のほとんどにこの体言が含まれています。

トム・クルーズ、エド・シーラン、BTSは人名なので体言です。商品名のポテトチップス、カップヌードル、パインアメも体言です。

パインアメといえば岡田監督の大好物です。

これを体言であるパインアメで止めると。

岡田監督の大好物といえばパインアメ。

俳句や川柳ではおなじみの体言止めですが、文章に使うとまわりくどい印象になりませんか?

岡田監督の大好物といえば、そうパインアメ。

みたいにクイズ感が出てしまいます。

名探偵の謎解きシーンじゃあるまいし、一行に収まる短文でもなんかイラッとしてしまうのが体言止めです。会社でこんな言い方をしようものなら「いいから普通に言え」と上司に怒られます。

体言止めのなにが一番ダメなのかというと読者に考えさせてしまうことです。スラスラ読みたいのにウッと詰まる箇所が出てくるのは好ましくありません。

目指したいのは文章の無印良品化

漢字をなるべく少なくする、ムダな専門用語を使わない、中学生の習熟レベルに合わせる。平易な文章を書くための注意点はほかにもありますが、とにかく読みやすければいいです。

誰が?

なるべく多くの人が、です。自分で読みやすいと思っても他人がそう思うかはわかりません。これはパーフェクトだとガッツポーズするような原稿でも一夜明けて見直してみると全選択+Deleteで白紙に戻したくなる完成度だったりします。

絵画や動画と違って文章は直すのに時間がかかりません。面倒くさいと思わずに読みやすさを追求してください。

目指したいのは文章の無印良品化です。

普通の人に向けた普通の文章を書けるようになればターゲットごとのアレンジもしやすくなります。