2023
02.03
価格表は掲載した方がいいのか?

価格表は掲載した方がいいのか?

CONTENT MARKETING

企業間取引(B to B)がメインの会社にとってホームページに価格表を掲載するかどうかは迷うところです。価格表をコンテンツとして加えれば見込み客にとっていい判断材料になりそうですが、載せることで「この価格じゃ厳しいかな」と思われるなどマイナス面も否めません。さて、どうしたらいいのでしょうか?

安いも高いもアリ、価格表を掲載した方がいい場合とは?

掲載した方がいい例でいえば、第一に低価格をセールスポイントにしている場合です。業界最安とか地域最安とか爆安ビッグバンとか、デフレもインフレも関係なく安さで勝負している会社はたくさんあります。また安いのが正解と考えるお客さんも多いわけで価格表を見て「お、安い。いいじゃん」と即決&即オーダーという流れはよくあります。

あとは独自の仕入れルートがある、広告・宣伝にお金をかけていないなど安さの理由を記載しておけば、ふとしたときの「ん?」という不安材料を取り除くことができます。

次にサービスプランをしっかり設定している場合です。高いプラン、普通のプラン、安いプランの3つを設定して、真ん中の普通を選んでもらうという「松竹梅の法則(=ゴルディロックスの原理)」を活用するアレです。それを見てお客さんは価格と内容を比較検討しますが、安かろう悪かろうの先入観もしくは失敗したくないという防衛心によって普通以上のプランを選びます。

女性と食事に出かけたとき2,000円、3,000円、5,000円のワインリストを見せられたら2,000円のボトルは選びにくいですよね。これは見栄ではなくマナーです。

もうひとつは高級路線でブランディングしている場合です。高いものはいいに決まっていると、そう信じて疑わない人は一定数います。価格が桁違いの商品やサービスは心と財布を惹きつける魔力があります。高級ブランドの腕時計、宝飾品、バッグ、そして高級外車に億ション。大枚を叩いて買ったものが悪いなんてあり得ないだろうと。

数字の大きい価格表を出すことはマスではなくコアユーザーを相手にしているという意思表示です。対象外のお客さんとの無意味なやり取りもなくなるので「ウチはお高いですよ、オホホ」ぐらいの強気マインドで出しましょう。

掲載できないときは事例で具体的な予算感を伝える

逆に掲載しない、というかできない例はそもそも価格が決まっていない場合です。システム開発とか、デザイン案件とか。ユーザーの要望で内容と工数が変わるようなサービスはビシッと数字を出すことができません。よく「30万円~」と目安を示すマイルドな価格表を見かけますがざっくりの予算感は把握できても説得力には乏しいような気がします。

そこで効果的なのが事例です。こういうものを制作してこのくらいの費用がかかりましたと過去の実績を例にできれば必要な予算がわかりやすくなります。もし可能であれば仲のいいクライアントに協力してもらうのがベターです。「予算内でできてよかったです。本当に助かりました」と第三者の言葉によって説得力が生まれるという「ウィンザー効果」が期待できます。

余談ですがこのウィンザー効果は「あの松本人志さんもそう言っていた」とか「あのホリエモンもそう言っていた」とかトラの威を借りるキツネ的に使われることも少なくありません。あとはステマですよね。美容、ダイエット、アンチエイジング。すべてが怪しいとは言いませんが、なんでもかんでも「個人の感想です」で逃げ切れちゃうのはどうかと思います。

推奨したいのはこっちです。職場で凹んでいたとき隣の席の同僚から「部長がキミのことすごく褒めていたよ」なんて聞こうものなら「え、あの鬼みたいな部長が。オフィスの死神と恐れられている部長が。顔面ディストピアの異名を持つ部長が。わたしのことを褒めていたなんて」と心の隙間がひとつ埋まるように嬉しい気持ちになりますよね。ですので、世の部長さんは陰ながら応援している感、見守っている感を出して部下の信頼を勝ち取りましょう。

あえての非公開、問い合わせを増やすための説得と納得

価格表の話でしたよね。

価格表を出さない方がいいのは問い合わせを増やしたい場合です。価格表を見て離脱するユーザーはなにがどうでダメなのかがいまひとつ不明です。高すぎてダメなのか安すぎて怖いのか、あるいは商品やサービスの説明が足りないのか。知るべきはモノを言わぬお客さんの意見なのですが、こればかりはどうにもなりません。

そこであえて価格表を非公開にして、問い合わせを獲得する戦略を選びます。資料請求にしても見積依頼にしても商品やサービスに興味がなければわざわざ問い合わせたりしないですよね。他社と比べて検討中ですよ、打ち合わせの機会は設けますよ、予算に見合えば発注しますよ、社長決裁も問題ないですよ。と、そのくらいの気持ちはあるはずです。

営業力のある会社なら問い合わせの数だけチャンス到来です。しかし価格表を非公開にしたことで問い合わせが激減するパターンもあります。

なぜそうなるかというとユーザーの購買意欲を高めるコンテンツが欠けているからです。

一方的に説明して、すぐに問い合わせしてもらえるほどB to Bのビジネスマッチングはイージーじゃありません。コンテンツの役割は「説得と納得」です。説得が足りていなければユーザーは納得できず、問い合わせページを開く前に立ち去ってしまいます。

ではどういうコンテンツを用意すればいいのでしょうか?

やはり事例が最も効果的だと思います。事例の中に同じ業界のユーザー、状況が似ているユーザー、規模が近いユーザーがいればそれは大きな安心材料となります。また事例は自信の表れであり、透明性でいえばテレビに映ってもOKなレベルです。

あと金額以外の数字を出すのはおすすめです。契約ユーザー数、業界シェア率、満足度などのアンケート結果。もちろんエビデンス(根拠)は必要ですが、こういう数字はユーザーの胸にグサッと刺さります。県大会1位とか「お、すごい」ってなりますよね。

とかいいつつ、真のおすすめはLP(ランディングページ)です。B to Bだとパソコンでブラウザを開くお客さんも多そうですが、結構な頻度でスマホも併用します。LPの縦スクロールはスマホとの相性もよく、パソコンやタブレットより情報に集中しやすいので感情に訴えるにちょうどいいデバイスです。

LP制作のイメージは一方通行の極細道を一度も振り返ることなく突き進んでもらい、なるべく早くボタンのあるゴールへと導くことです。「これだ!これしかない!」と思わせることができればOK。虎の穴に入ったタイガーマスクに「虎だ!お前は虎になるのだ!」と信じ込ませるのにちょっと似ているというかLP=虎の穴です。