06.25
ダラダラ長いだけの企業PVを短くしてくれるキャッチコピー
プロモーションビデオを制作して公開する企業が増えてきました。YouTubeという便利なプラットフォーム、そして動画制作を得意としている会社。流行りといえばそれまでですが、以前に比べて企業PVの発注ハードルはかなり下がっていると思います。今回はいろんな企業のPVを見た上で「その動画、ちょっと長過ぎませんか?」という話をします。
動画制作は時間が短くなるほどプロフェッショナルな仕事に
テレビコマーシャルの長さは基本15秒です。ドラマやバラエティ番組の間に割り込んでくるからなのか、じっくり見ることはほとんどなく、むしろトイレタイムにしちゃっている人の方が多いと思います。録画なら間違いなく早送り対象ですよね。
ただ、たまにCMをじっくり見てみるとこの15秒という時間はさほど長く感じないことがわかります。長いか短いかの感じ方は見ようとしているか見ようとしていないかで違うのでしょう。
一方、制作者の立場になって考えると15秒という短い時間の中で商品やサービスの魅力を視聴者に伝えるのはとても難しいことです。だからといって時間が長ければ楽なのかというとそうでもありません。
1時間のドラマの脚本って、どのくらいの量になるかわかりますか?
よく言われるのは1分=400文字詰めの原稿用紙1枚です。1時間だと60枚の原稿用紙が必要になります。学生時代に作文が苦手だったという人にとっては考えられない枚数ですよね。ところが一般の人がセリフやら描写やらドラマの中身をまともに詰め込もうとすると60枚ではまったく足りず、そこをプロの力でギュッと凝縮しているからなんとか収まっているわけです。事件発生からなんやかんやあって犯人逮捕まで正味45分とかすごいことだと思います。
ちなみに20秒のラジオCMだと約100文字。Twitterの上限である140文字より少ないのです。
どうでしょう。短い方が難しく感じませんか?
実際に100文字で会社やお店のPRをしようとすると、いわゆる普通の文章では無理なことがわかると思います。
それっぽい動画に必要なのは撮影技術と編集技術のみ
よくありがちな企業PVの例はそれっぽい動画をたくさん撮っておいて、それっぽく編集でつなげるという「撮影+編集」の作業です。仕上がりはとてもきれいで「さすがプロ!」という感じですが、特に印象に残るものはなく心を動かされるほどでもなく、なにを言いたいのかよくわからない動画を見たことはないですか?
そういう動画に限って長く感じるというか、実際に長いと。
3分とか5分とか10分近いのも珍しくありません。
なぜ長くなるかというと、発注する側も請け負う側もいろいろ詰め込み過ぎるからです。「どうせ作るなら長い方がいい」という発注サイドの希望に対して「どう切り詰めても収まらない」という制作サイドの苦悩。どっちがどうとかではなくどっちもどっちです。
あれもこれもと詰め込んだ結果、再生数の上がらない長尺動画が出来上がります。動画の完成と公開がゴールになってしまっているやり切った感全開のパターンです。
その制作現場にコピーライターがいないことは言うまでもありません。
企業PVのクオリティを上げるのはキャッチコピー
映画を観たことがない人はいないと思います。また誰でも好きな映画の1本や2本はあるはずです。では最も印象に残っている映画はなんでしょうか?おそらく心の響くなにかがあったからこそ印象に残っているということなのでしょう。
映画のシナリオで一番大事なのはセリフだと言われています。インパクトのある斬新なひとこと、流れをひっくり返すまさかのひとこと、格言のような人生の教訓的ひとこと。まさに「名画に名セリフあり」です。
企業PVにおけるセリフはキャッチコピーです。ひとこと、なにを伝えるのかで動画の印象が100パーセント決まります。
このキャッチコピーを考えないまま作業を進めていくとどうなるのか?
ダラダラとしていて締まりのない、言葉はよくないですがどこの誰にも刺さらない自己満足動画を作るしかなくなってしまいます。
逆にキャッチコピーを決めてから構成や撮影などの作業をはじめるとあらゆるムダを省くことができます。キャッチコピーありきの企業PVはビックリするくらい短くなり、強い訴求力が備わります。