04.06
ライターが教える「メディアが食いつくプレスリリース」の書き方
企業が新しい商品やサービスを発表するとき、プレスリリースを出すことがよくあります。そのプレスリリースがテレビや雑誌、ネットニュースといったメディアに掲載されて、世の中に広まるという仕組みです。ではメディアに取り上げられやすいプレスリリースとはどういうものなのでしょうか?現役のライター視点でパパッとまとめてみました。
プレスリリースは世の中ではなくメディアに伝えるもの
まずはプレスリリースの基本を押さえておきましょう。プレスリリースは企業が出して、メディアが見るものです。発表する、告知するという意味では広告・宣伝と似ていますが、ターゲットが違うことを忘れてはいけません。
よく使われている配信サービスは下記の2つです。
PR TIMES
https://prtimes.jp/
@Press
https://www.atpress.ne.jp/
これらに掲載されているリリース情報をメディアの担当者がチェックして「おっ!」と思ったものを記事にするというのが一般的な流れです。
日々配信されるプレスリリースは膨大な数に上るため、ただでさえ忙しいメディアの担当者がひとつずつじっくり目を通すのは難しいというのが現状です。
いちいち読んでいる時間がないため、タイトルと見出しだけで取り上げるか否かの判断をするのが普通です。だからといって凝ったタイトル、面白い見出しが目に留まりやすいかというとそうでもありません。
結論をいえばタイトルと見出しは「わかりやすい」が正解です。
冒頭で説明したようにプレスリリースは広告・宣伝とは違います。内容に関わらず客観的事実を書かなければなりません。
たとえば「国内最大の〇〇〇!」という文言を書く場合はエビデンス(確かな証拠や根拠)が必要で、不確実だと検閲に引っ掛かります。例外的に「国内最大級の〇〇〇!」と「級」をつけて濁せばスルッと通ったりしますが、プレスリリースとしてあまり好ましい表現方法とは言えません。ほかにも「日本初!」「第1位!」「100%!」などいろいろありますがJARO(日本公共広告機構)が呼び掛けている「ウソ・大げさ・紛らわしい」を避けて伝えるべきことを伝えましょう。
そして文章構成は5W1H(いつ、どこで、誰が、なにを、なぜ、どのように)に沿って簡潔にまとめます。丁寧過ぎてもダメで、サラッと読めるA4紙1~2枚に収まるのが理想です。
意図して面白くする必要はまったくありません。プレスリリースの内容を一般の読者に伝えるのは記者やライターの仕事です。なんだか面白そうだけどだけどよくわからないものはまず取り上げられません。
もし目立ちたいのであれば、根本に立ち返って告知する商品やサービスのユニーク性、そしてネーミングにこだわりましょう。
ビジュアル大事!掲載時に「使える写真」を用意しておこう
繰り返しになりますがプレスリリースをチェックするのは記者やライターです。つまり読み書きのプロが目を通すため、文字情報だけでも内容を正しく理解できます。しかしプレスリリースがメディアに掲載され、最終的に読むのはビジネスマンを含む一般の人たちです。
掲載の条件として、イメージとなる写真・イラストが必須であることは言うまでもありません。
そこを見越して予めイメージを用意するのは当然ですが、イラストはともかく写真の方は注意が必要です。まずはそのまま使える見栄えのいい写真であること、次にパターンを多めに用意しておくこと、最後にサイズが大きいこと。この3点に注意してプレスリリースに添付するようにしましょう。
見栄えとパターンはわかりやすいと思いますが、サイズに言及するのにもちゃんとした理由があります。サイズが小さいと新聞や雑誌、フリーペーパーなど紙媒体では通用しないからです。
最近はスマホでも十分にいい写真が撮れますが、ここぞというときに出すプレスリリースではプロカメラマンに撮影を依頼した方が無難です。
問合せの準備はOK?メディアに対してウェルカムな雰囲気を
と、ここまで書いてきたことはおそらくご想像の通りだと思います。本題はここからです。プレスリリースの最後に必ず「お問合せ先・取材の申し込み先」という欄があるわけですが、興味を持ったメディアの担当者はそこを見て電話なりメールなりの連絡を入れます。
大企業や広報に力を入れている会社であれば「はい、その件ですね」ということでスピーディーに広報担当の方につないでくれます。その後、掲載希望の旨を伝えると追加資料や追加素材を送ってくれるなど手続きも非常にスムーズです。
一方で逆パターンもあり、プレスリリースを出したあとの準備が整っていないケースもたまに見受けられます。情報は鮮度が命ですから、プレスリリースを出してからの1週間が勝負です。特にネット媒体は掲載を決めて即日アップくらいのスピード感覚だったりします。電話をかけても担当者不在、メールを送っても返信なしだと話になりません。
実際にありがちなのが担当の方が多忙なために連絡が遅れ、締め切りに間に合わないというケースです。せっかく出したプレスリリースですから、掲載希望・取材依頼が殺到すると信じて臨戦態勢で待ち構えましょう。
プラスアルファのヒントをもうひとつ。
ホームページに「問合せページ」がありますよね。そこに取材に関する文言を入れておくのはどうでしょうか?
難しく考えずただ「お問合せ・取材のお申込みはこちら」と記載しておくだけでもメディアに対してウェルカムな雰囲気をつくることができます。