2022
10.13
取材も段取りで9割決まる!質問準備は徹底的にやるべき

取材も段取りで9割決まる!質問準備は徹底的にやるべき

WRITING

今回は取材準備の話です。たとえ取材に慣れていたとしても行ってドンの出たとこ勝負ではねらった記事がつくれないため事前の準備が欠かせません。話を聞く立場としては質問の用意が必須です。では、その質問を用意するのにどうすればいいのでしょうか?結論からいえば「普通のことを徹底的に」です。

1時間の取材で用意したい質問は40個以上

取材時間って限られていますよね。記事の構成やボリュームにもよりますがだいたい1時間ぐらいはもらえると思います。その1時間を有効活用するために必要なのは事前に質問を用意しておくことです。

数として少なくとも40個はあった方が安心だと思います。ちょっと多いと感じるかもしれませんが、取材で一番怖いのはシーンとしてしまうことです。実際に全部聞くかどうかは別として、質問と回答のラリーが途切れないように準備しておきましょう。

専門性が加わるような具体的な話になるのは場が温まってからです。その前、もしくはその途中に投入できるような質問の用意があれば取材がスムーズに進みます。あいさつ代わりに聞くこと、微妙な間ができたときに聞くこと、話題を変えたいときに聞くことなどがそうです。

たとえば名前が難読漢字だったりすれば「どう読むのが正しいですか?」はあいさつ代わりの質問になります。仮に知っていたとしても「〇〇さんで間違いないですか?」と名前は会話のきっかけにしやすい好材料のひとつ。いわゆるアイスブレイクです。本題に入る前に場を和ませるつもりでごくかんたんにこたえられるような質問を2~3つ用意しましょう。

そのほかの質問は記事構成を踏まえながらブロックごとに分けておきます。バックグラウンド(背景)、メインテーマ(主題)、フューチャー(今後)とか。特にメインテーマは記事の核であり、タイトルにも影響するところですから厚めに準備しておきたいところ。「というと?」「具体的には?」「つまりその」と回答に質問を重ねられるようにすれば深掘できます。

SNSをチェックしまくれば人物像が浮かび上がる

では40個以上もの質問を用意するのにはどうすればいいのでしょうか?

ざっくりいうと調査です。

もし相手が企業の経営者さんなら会社のホームページを基本資料としてニュースリリースもひと通りチェックします。とあるサービスに着眼しなければならないときは、それがまったく知らない分野だとしても「ふむふむ」と相づちを打てる程度に勉強します。相手からすると説明するのも面倒くさいですし、無駄に時間がかかるだけなので取材のテンポを崩さないためにも理論武装は必須です。

さらに踏み込んでSNSも確認します。タレントさんなど著名人でなくてもほとんどの人がFacebook、Twitter、インスタグラムのいずれかをやっているものです。ここはFBIのプロファイラーになったつもりで、しつこく目を向けていきましょう。趣味、特技、旅行先、グルメ、家族構成、交友関係、自慢話などなど。なんでもいいのでメモしまくります。記事に使えるのはほんのわずかかもしれませんが、お互いの共通点など会話のネタさえ拾えれば十分です。

ただ正確に把握しておきたい情報もあります。

それは数字です。年月日、時間、金額、個数など間違いのないように書くためには取材時に正しい数字を聞いておかなければなりません。しかし相手がこれらの数字を覚えているとは限らず、むしろ「えーと、なんだっけ?」となることが多いのです。その場で資料を引っ張り出してもらうとかしていると今度は時間が足りません。との理由から記事に関連しそうな数字を書き出すことも取材準備に含めておきましょう。

取材を盛り上げるための「ツボQ」も探っておく

子どもや学生のときは自己紹介が苦手だった人も多いと思います。

なぜ苦手かというと話せることが少ないからです。でも知識と経験を積み重ねてきた大人であれば、あのときはああだったとかこうだったとか話す内容には困らないはずです。そしてなぜか大人は自分のことを話すのが大好きで、逆に人の話を聞くのは苦手という傾向があります。

そんな大人にとって取材はじっくり1時間も話ができる絶好の機会です。よほど秘密主義の人でもない限り、前向きに応じてくれることでしょう。そもそも秘密主義の人は取材対象になりませんが。

何度か取材を経験してみるとわかることですが、いかに相手にしゃべらせるかが重要です。ボリューム的には質問1に対して回答9ぐらいのイメージです。準備した質問を上手く繰り出すことができれば、相手の調子も上がってきます。一方でどうにもこうにも盛り上がらない場合もあります。

そんなときのために相手の喜びツボを刺激するような質問「ツボQ」を用意しておくことをおすすめします。

この「ツボQ」は先ほど述べたSNSの中からピックアップできます。取材の本筋からは外れますが、たとえば阪神ファンであればその話題を持ち出します。もし阪神どころか野球に詳しくないとしても、この取材を成功させるために今シーズンの成績、活躍している選手、直近の試合日程をフルチェックしてまるで阪神ファンのように会話をつなげるのです。

そこまでやる?

と思われるかもしれませんが、そこまでやるのがプロの仕事です。